KILL BILL Vol.2

主演・ユマ・サーマン 監督・クエンティン・タランティーノ
 映画は娯楽です。これを絵に描いたような作品。理屈ぬきに鑑賞?いや、気軽に見る映画です。監督のタランティーノは熱狂的なファンを持つ異色な監督。1963年生まれと言うから41歳、「自分の好きな映画を自分の好きなように作る」と言う点では、ある種羨ましい限りのことだろう。少年時代はTVと映画漬けの毎日の中で高校も中退をして、5年間ビデオショップで仕事をして映画にハマルというか、「映画気違い」になる。おそらく何千本とう映画を見たのだろう。1日に3本見たら年間1000本。もしかしたら万の単位で彼の大脳には映画の映像が付着しているのかもしれない。そう考えると日本映画の「やくざ映画」は、いい悪いは別にしてインパクトが強いといえるかもしれない。「網走番外地」「座頭市」「子ずれ狼」などの影響を強く受けたというから面白い。おそらく「緋牡丹博徒」も見たであろうし、それはエンディングに梶芽衣子の「女囚さそり」の主題歌「恨み節」を使っているのでも十分に推測できる。観ていて梶芽衣子を知らない、今の若い人はどんな風に受け止めたのだろうかと考えるだけでも面白かったし驚かされた。
 この映画はVol.1を見ていないと、おそらく面白くないだろうと思う。第1作目は正直言ってマンガです。ここまで言ってしまうと、タランティーノの映画を理解していないとお叱りを受けるだろうが、チャンバラと、一時よく言われていたエログロナンセンスの連続だったVol.1に比べて2は単純に良かったと言っておこう。端的に言ってエロがないところには拍手喝采を送れる。どちらにせよこれだけ話題を確保するのだから、それだけでも一つの評価はできる。筆者も多くを期待せずに話題作を見てみようという単純な発想で映画館に足を運んだ。鑑賞後の爽快感は人それぞれにあったのではないだろうか。
 『復讐ではなく、愛』『キルビルはタランティーノの子ずれ狼だ!』とパンフレットには書いてある。「う~ん」と考えさせられるが、作る人見る人の「自由」がこれだけ満載されているという点ではOKと言えるかもしれない。超娯楽映画として楽しもう。一切、理屈は抜きにしよう。映画代を出して自分で選択して観た映画なのだから、いいところ見つけようといいたくなる映画です。ヒロインのユマ・サーマンのカッコ良さに単純に痺れたらいいと思う。何度も何度も地獄から這い上がってくる所は素晴らしい。スーパーヒロインではなく、強いけれども何度も絶体絶命のピンチに立たされて、もうこれでお終い、とは思わないけれども、どう切り抜けて行くのだろうと心配をさせてくれるところは、やっぱり面白い。そのあたりをスーパーさで誤魔化してしまうのではなく、原因と結果をただしてくれるところは、タランティーノの真面目さかもしれない。
 「理屈抜き」というのは今の若者のキィワードかもしれない。面白い・楽しい・うれしい・かっこいい。これらに理論武装はいらない。塾業界も、子供たちの教育・授業に対して理屈抜きのニーズに対する答えが必要だと思う。表に理論武装するのではなく、裏でやるべきことをして目標を達成する仕事が大切なような気がする。学校・家庭・塾で子供たちは屁理屈に押さえ込まれているのではないだろうか・・・。