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主演 / ショーン・ペン ナオミ・ワッツ
全く別の世界に生きていたひとりの女とふたりの男の運命を引き寄せたのは、ひとつの心臓。残りの命が1ヶ月と宣告されて心臓移植をする以外助からないポール(ショーン・ペン)。優しい夫と幼い二人の娘と幸せに暮らしていたクリステイーナ。(ナオミ・ワッツ)。信仰に没頭することで心の平安を求める前科者のジャック(ベニチオ・デル・トロ)。ある日、ジャックの運転するトラックがクリステイーナの夫と娘たちの命を奪ってしまう。夫の心臓はポールに移植される。やがてポールは回復をして、どうしても心臓をくれた人を知りたいと探し始めた時、3人の運命は出会い、重なり、よじれ、予想もしなかった結末へと話は流れていく。愛・悲しみ・罪・憎悪・自己嫌悪・嫉妬、様々な感情に流されながら3人がたどり着いたのは結末ではなくすべての始まりだった・・・。
ショーン・ペンの円熟した演技が見もの。「ミステイックリバー」でアカデミイー賞を受賞したが、これも甲乙つけがたい演技。凄いのはさり気なさにあるペンの演技だろう。他の賞では、この作品で5つの主演賞を取っているところからもそれがいえる。ナオミのほうもアカデミイーに主演でノミネートされたが惜しくも逸したが、海外や準メジャーな賞を数多く獲得した。アメリカの新聞各紙は、この作品のほうを評価しているようだ。「この10年間見た映画の中で最高傑作」(プレミア誌)、「感動に心の震えが止まらない最高傑作!!鬼才アレハンドロ監督は前人未到の領域に到達した」(ニューヨーク・タイムズ紙)。
21gは100円ライターの重さ、ポケットティシュの重さ、ハチドリの重さ。これは人間が死んだ時に誰もが軽くなるという重さ。それは心臓の重みなのだろうか、それとも魂の重さなのか?生と死をテーマにしており難しいといえば難しい。おそらく、映画通好みの映画で一般には賛否両論が行き交うだろう。それを名画にしたのが3大俳優のさり気ない演技。ナオミ・ワッツクの「息ができない」というセリフには、迫真のというよりも震撼させる凄みがあった。脇役人の層の厚さも唸らせるものがあった。アメリカの映画という文化が人材を育てているのだろう。この領域については流石に世界一といわざるをえない。ブロードウエイのミュージカルとロンドンのミュージカルではイギリスの伝統に軍配が上がるが、こと映画については創世の時代的にもアメリカ文化の素晴らしさを感じる。
人材育成は一朝一夕にはいかない。それは人間のたゆまぬ努力と夢と情熱のなせる業であろう。ノウハウ、マニュアルである程度の域に達しても本物にするためには、総体的なパワーが必要になってくる、3~50年の塾文化のこれからの行くへ、はどうなるのであろうか。復権、復活の道を辿って松下村塾や適塾の原点に戻って、その歴史を活用するのか?現代の塾の歴史の中に構築していくのか、それは塾業界の浮沈の問題や経済的な問題ではなく、日本の教育の問題ではないだろうか?教育百年の大計を立てて子供たちの未来を見つめるときではないのだろうか?人材育成の要は指導者にあり。この原点に戻って、塾業界に指導者としての「人物」の輩出を願ってやまない。