シンデレラマン ~心で語り継がれる<奇跡の実話>~

主演/ラッセル・クロウ レネー・ゼルウィガー
 この物語は「夫婦愛」がテーマだと思う。その素晴らしさをラッセル・クロウとレネー・ゼルウィガーが見事に演じた。彼等の作品はもう何作も見てきたが、今回の作品の演技が秀逸だ。夫婦愛なんてテーマは、夫婦喧嘩は犬も喰わないと同じぐらいに映画としても、あまり求められないテーマだと思える。それをアカデミィー俳優の二人が素晴らしい演技で映画を完成度の高いものした。ラッセルのあのボクシング選手に見せるための役作りの減量はまさに映画人、プロの凄さを学んだような気がした。ハリウッドという映画界の風土がそうなのであろうが、映画がヒットしたかどうかではなく、本物を作るというハリウッドの風が私は好きだ。

 監督のロン・ハワードは「私は人びとの‘心’‘精神’や‘想い’そういったものを映画でとらえたい」「シンデレラマンは人が自分自身の中にある強さを見つけて、生きるためになすべきことをし続けることを描いたそんな映画です」「これこそが私が伝えたい物語なのです」と述べているように、そのままにそれを映画化している。
「夫婦が育んだ結婚の絆の強さに惹かれたんだ」
「これは結婚しているカップルのラブストリィーなんだよ」
とも言っているが、その実はもっと深い。正に夫婦の純愛物語だといえるだろう。すべての夫婦が肩を並べて観て欲しい映画だ。
そして夫婦・家族・親子の絆に生まれる愛というものの素晴らしさ、深さを認識して欲しいと思った。そして、世のお父さんには必見の父のあるべき姿を見せられたような気がする。
 「観客をリングの上に連れてって恐れやそこで体験することを一緒に感じて欲しかった」これも見事に果たし終えている。「ロッキィー」に代表されるようにボクシング映画というのはおもしろい。ある面では脚色される分、実際のボクシングよりもドラマチックに映像化することができる。
しかし、この映画は単なるボクシング映画ではなく、ヒューマンな上にボクシングの醍醐味が加わってなおのことおもしろい。ラストのボクシングシーンも「どうなるのだろう」と観客を惹き付けるだけ惹き付けておいて、ハラハラドキドキさせながらリング上に連れて行かれて、最後の結末では予想を外される。予想を外されてそれ以上に映画をおもしろく楽しく素晴らしいものにしている。
■もう何年も前から、水曜日はレディースデイと銘打って映画代が¥1000-になっている。男にはそれがなくて、不公平な差別だと思っていたが、遂に木曜日はメンズデイになって映画が¥1000-で観られるようなった。
1回分で約2回観られるのは映画ファンにとって何よりもうれしい。映画・文学は10代の頃からの私の心友だ。泣いて笑って神動して、映画は本当にいいものだと思う。