サムライ讃歌





侍賛歌。イチローを称えて Date: 2004-10-02 (Sat) 

 イチローが大リーグ記録を樹立した。84年間破られることのなかった247安打という記録を「なんなく」突破した。海を渡った侍(=イチロー)は、いつも先=未来を見つめている。それは見つめているというよりも睨んでいる、凝視しているといった方が的確だ。彼の素晴らしい所は潜在意識のフル活用とゆるぎない自信だ。①打ちたい②打つ(打とう)③打っている④打った⑤また、打った。というこの5段階のイメージトレーニングの活用において天才的だと言える。⑤天才④超一流③一流②二流①三流という段階。①未来願望②意志未来③未来進行④未来完了⑤未来継続というレベルだ。①は誰しもが願っていること、しかし、その多くは結果が出せないで終わってしまう。心技体の技体で野球をしている選手達だ。②意志が介在して来ているので、成功確率が上がってくる。それでも3割は超えられない。だから二流で終わってしまう。③イメージトレーニングが活用されており、潜在意識も活用している。バッターボックスに入った時、ある者はボールを打った瞬間をイメージしているものもあれば、二塁から三塁を走っているシーンを思い浮かべている者もいる。④結果を具体的なイメージで捉えることが出来る。そのようにいつもトレーニングしている。⑤称賛されてインタビューに答えてたりしていることを連想し、時にはその言葉さえ用意している。究極の結果までのシナリオを書いている。
 イチローはイメージを言語化して、それを口に出してどこかで言っているか、あるいは心の中で念じているかのどちらかだ。そのイメージコントロールをマインドコントロールに直結させて、優れた運動機能を備えた体の全細胞を駆使して安打を製造している。体の全細胞の数は60兆だ。60兆という天文学的数字を具体的に捕らえると、毎日100万円を遣って1年で3.6億、10年で36億、百年で360億。千年で3600億、この3倍が約1兆として、3000年かける60だから、18万年。人類にとって18万年という数字は天文学的数値だ。イチローは天才的技術・至高の技術と称えられているが、私は潜在能力・潜在意識の活用の名人だと評価している。
 見つめている先には夢を実現化させた、イチローの世界における「現実」、イメージの中にある現実がいつも潜在意識の中にあって、その本(もと)に一挙手一投足がある。成功イメージの天才がイチローなのだ。三流の打者が「もし、ここで打てなかったら」と万分の一、一瞬ひらめくのに対して、イチローは絶対的と言っていいほど、上手くいくことしか考えない、思考回路を持っている。それでも3回に1回しか成就しない。それがイチローが人間であり、ロボットでない証拠なのだ。イメージコントロールの天才、イチローはそのことに自らも確信を持って気づいていない。それは潜在意識というものがそのような性質であるからだ。一瞬のだじろぎ・一瞬の迷い・一瞬の緩み、これすらも許さない、研ぎ澄まされた集中力をイチローは磨き育ててきた。人は自分が出来ないことを他人がすると、それを「努力」という言葉で誤魔化そうとする。イチロー語録を意識して収集している中で、彼本人の言葉から「努力」という言葉を聴いたことがない。努力という言葉はプロとアマの違いかも知れない。一流の選手が努力しましたとは決して言わないものだ。
 イチローの言葉には重みがある。イチローの風貌には野武士のような逞しさと武士のような気品がある。「言葉と風貌」これが男の値打ちを決めるものかもしれない。30歳でそれを兼ね備えているのだから、野球選手としてだけでなく、人間としてイチローは一流であると言える。
(2009年 4月 16日 [木曜日])